肥満からの生活習慣病発症を抑制する食品成分の探索(管理栄養学科・バイオメディカル研究センター 教授 清瀬 千佳子)(2020.04.17)

管理栄養学科・バイオメディカル研究センター 清瀬 千佳子教授  管理栄養学科・バイオメディカル研究センター 清瀬 千佳子教授 

日本では、糖尿病などの生活習慣病の罹患率が年々右肩上がりに上昇しています。このような生活習慣病の発症を抑制できる食品成分を見出し、それを摂取する事で日本人の健康をより増進させる事を目標に研究しています。
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日本人の現在の食生活は欧米化が進んでおり、高エネルギー、高脂肪摂取に偏っています。日本における肥満者の割合は、ここ10年で大きな変化はないものの、男性の場合は3人に一人が肥満です。肥満とは脂肪組織に過剰は中性脂肪が蓄積した状態を示しています。肥満自体は病気ではありませんが、その状態が長く続くと肥大化した脂肪細胞から炎症を誘導する様々な物質(炎症性サイトカイン)が産生されて、周りの脂肪細胞の炎症が進んだり、また血中を介して各組織に輸送され、他の組織の炎症が拡大していきます。これが生活習慣病の発症のきっかけの1つであると考えられています(図1)。


そこで、私の研究室では、肥満から起こる生活習慣病の発症予防が出来る食品成分を見出す事を目的として研究しています。現在、いくつかの食品成分に焦点をあてて研究していますが、その中の1つ、ビタミンEを紹介します。ビタミンEは栄養素の1つで、脂溶性ビタミンの仲間です。主に抗酸化作用があり、私たちの細胞膜の障害を予防する働きがあると言われています。ビタミンEは天然に8つの同族体が存在します。これらは主に植物油や種実類に含有されており、その分布は同族体によって異なります。8つの同族体の中の1つであるα-トコフェロールが抗酸化作用等の様々な機能を持つことが多くの研究で明らかになっていますが、その他の同族体については研究が少なく明らかになっていない点が多くあります。そこで、本研究室では、γ-トコフェロール、δ-トコフェロールやトコトリエノール類の新規機能を見出すために研究を行っています。最近はδ-トコフェロールに着目し、肥満や肥満からの炎症誘導に対して効果があるかどうかを研究しています。培養細胞を使用して検討した結果、δ-トコフェロールはα-トコフェロールよりも強く脂肪細胞の炎症を抑制する事を見出しました。また、δ-トコフェロールは白色脂肪細胞をエネルギー産生できるベージュ脂肪細胞へと分化誘導する力をもっており、その力はα-トコフェロールよりも強い事も見出しています。しかし、δ-トコフェロールを摂取すると、脂肪組織に最も多く分布しますが、α-トコフェロールと比べれば非常に少ない量しか行きません。現在は、δ-トコフェロールを脂肪組織に集中して輸送できるようなドラッグデリバリーシステムの構築も視野にいれ、研究を進めています。

管理栄養学科 栄養生化学研究室(清瀬研究室)紹介ページ

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