食を介した健康な地域づくり活動‐閉じこもり予防・支援プログラムの展開‐(栄養生命科学科 准教授 原島 恵美子)(2020.01.24)

栄養生命科学科 原島 恵美子准教授 栄養生命科学科 原島 恵美子准教授

持続可能な住民主体の食を介した「閉じこもり」予防活動を展開し、活動的な状態にある高齢者の生活機能の維持・向上を目指しています。
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わが国は世界有数の長寿国となり、世界のどの国もこれまで経験したことのない速さで超高齢社会を迎えています。65歳を超えても元気であると認識し、仕事や社会参加活動を通じて現役として活躍している人たちが多くいる一方で、より高い年齢層の高齢者では、寝たきりや認知症などによる要介護者が増加し、生命の質の確保(健康寿命*1の延伸やQOLの維持・向上)が問われています。その健康寿命の延伸を実現するには、すべての世代における生活習慣病の予防とともに、社会生活を営むための機能を高齢になっても可能な限り維持することが重要であり、そのためには、高齢者の心身機能の改善や環境づくりなどを通じて、個々の高齢者の生活機能や参加の向上をもたらす働きかけが必要です。

高齢者にとって「食べる」ことは、栄養補給のみならず、調理の過程を楽しんだり、家族や友人との共食により精神的な充足や満足感を得るなど、QOLに寄与する重要な要素といえます。本研究は、公共住宅団地の自治会とのパートナーシップにより、食を介した「閉じこもり*2」予防活動を展開し、活動的な状態にある高齢者の生活機能の維持・向上を目指しています。これまでの研究により、「閉じこもり」の一次予防として、団地集会所を拠点とした様々な活動やイベントの開催は、生活空間を屋外に向けるのに有効でした。

また、月1回開催される食事提供サービスは、栄養バランスのとれた食事の提供、情報提供、多世代との交流の場として、自治会の主要な活動に位置付けられますが、活動を支える高齢ボランティアスタッフの心身両面への負担が懸念されていました。そこで、スタッフの身体活動量や生活活動強度、主観的・客観的疲労感などを把握することで活動持続のための方策を検討しました。その結果、身体活動量、生活活動強度は、日常生活の範囲内で特に負担となっているとは考えられませんでしたが、疲労感については、提供メニューにより違いがみられたことから、メニューや調理作業工程に配慮することで改善を図っています。

研究では、他者との交流の繰り返しの機会が設けられる定期的な活動やイベントへの参加者が、他者とより親密な関わりをもっていました。このことは、居住地域での助け合いといった地域のつながりの強化とともに、健康づくりを目的とした活動に主体的に関わる住民主体の自治会活動の持続と拡大、自主的な参加が、健康寿命の延伸に効果的であることを示しています。

*1 健康寿命:健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間。
*2 閉じこもり:1日のほとんどを家の中で過ごし、日常の生活行動範囲がきわめて縮小した状態。

図

栄養生命科学科 公衆栄養学研究室(原島研究室)紹介ページ

※応用バイオ科学部栄養生命科学科は、2020年度に健康医療科学部のもとに再編します。また管理栄養学科に名称を変更します。


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