高齢者の骨格筋が減少する問題(サルコペニア)を栄養で解決する(栄養生命科学科 佐々木一教授)(2018.01.12)

栄養生命科学科 佐々木一教授

高齢になると、骨格筋が減少するサルコペニアを発症しやすくなります。サルコペニアは、健康寿命を短縮する重大な問題です。牛乳のたんぱく質を、サルコペニアの予防・進行抑制に応用する研究を進めています。

高齢者は、体が小さくなったように見えます。原因のひとつは、サルコペニアです。サルコペニアとは、筋減弱症ともよばれ、骨格筋の量が減少し、筋力などの質も低下する症状です。骨格筋が減少すると、日常の生活活動に影響が出るだけでなく、感染症などから体を守るために重要な免疫力が低下します。そのため、サルコペニアは、健康寿命を短縮するリスクになります。

サルコペニアは歩行を含む身体機能を低下させます。そのため、基礎代謝・消費エネルギー量が低下します。これにより、さらに食欲は低下し、低栄養が進行します(下図)。このサイクルは、「フレイルティ・サイクル(虚弱サイクル)」と呼ばれ、最初は気づかないままゆっくり進みますが、いつのまにか何回転もするとサルコペニアが進行し、体格の変化や身体活動の低下が、誰が見てもわかるまでになります。

サルコペニアの発症原因のひとつは、食事、特にたんぱく質の摂取不足により骨格筋を維持できなくなることです。さらに、高齢者は、食事以外にも問題を抱えています。全身的な慢性炎症です。その原因の詳細については、まだ不明な点が多いですが、慢性炎症は、骨格筋のたんぱく質合成と分解のバランスに影響し骨格筋の減少につながります。そのため、高齢者のサルコペニアの予防・進行抑制のためには、慢性炎症を抑制し、たんぱく質の利用効率を高めることが必要です。

当研究室では、サルコペニアの予防や進行抑制の機能を持つ食品の開発に役立つ研究を目指しています。毎日摂取する食品の中にそのような機能を見出そうとした結果、牛乳に含まれるたんぱく質に着目するにいたりました。牛乳には、大きく分けてカゼインと乳清たんぱく質が含まれています。乳清たんぱく質には、強い炎症抑制作用があることが、当研究室の独自の研究により明らかになりました。現在は、乳清たんぱく質が、骨格筋の炎症や損傷を軽減する作用について研究を進めています。

乳清たんぱく質は、良質なたんぱく質源であることが知られています。乳清たんぱく質を利用したサルコペニアに対応した食品は、良質なたんぱく質の供給源であるだけでなく、同時に炎症を抑制する機能を持つことが期待できます。極めて近い将来、高齢者に向けたサルコペニア予防・進行抑制のための食品の開発に繋げたいと考えています。

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